エンジェル・スキン・コーラル

あたしはメルエムがレアモノって呼ぶような素質はない。

レアモノでもないのにあたしがあなたの眼にとまったのは偶然。



あたしは小さい時から真実がわかった。

理由は知らないけれど、物心がついたときにはすでにわかっていた。

たとえばニュースで言っていた他の国は10歳になるまえに飢え死にするとかそれも嘘だって分かってた。

だから。

ディーゴ総帥が死んだときも。

嘘だって分かった。

なにか人ではないもの・・・が、操ってるって。

そして国民はみんな死ぬかもしれないとゆうことも。

だからあたしは行かなかった。だってどうせ死ぬなら慣れ親しんだ家で死にたい。

それにあたしは生きたいなんて思ったことがなかった。

そんな時あなたに会った。メルエムに。



「お前。なんで選抜に行っていない?」

「どうせ、行こうが行かなかろうがみんな死ぬの。だから此処にいるだけ」

あたしは早く帰って眠りたくて。話を打ち切って家に戻ろうとした。

「待て。余のそばにおれ」

「嫌です。さきほども言った通り殺されようとも行きません。」

その瞬間あたしは宙に浮いた。しっぽみたいので持ち上げられて宮殿まで連れて行かれた。

そして。なにがメルエムに気に入られたかは分からないけど、あたしは殺されずにメルエムの寵愛を受けていた。

なぜならメルエムには嘘や偽証がないから

あたしはいつのまにかメルエムに愛しさをおぼえていたんだ。

メルエムもネフェルピトーもみんなあたしの前では誰かを殺したり食事したりすることはなかった。

あたしは正直、もとは蟻のメルエムたちがそんな気配りができるなんて思わなかった。

「なんであたしの前で食事しないの?」

メルエムに抱きつきながら問う。

が嫌がるからだ。」

「そんな気配りできたの!?」

あたしは思わず叫んでしまった。

「余を馬鹿にしておるのか」

呆れながら問われる。

「いいえ。躊躇いもなく殺す人が気配りできるなんて思わなかったから。それにメルエムは蟻でしょう?」

侮辱ともとれるような言葉をあなたは笑い飛ばしてあたしに接吻を施す。

「他の者には気配りなど必要ない。お前だけが特別。」

私はメルエムの言葉がうれしくて今度はあたしの方から口付ける。

「私にはあなただけ。メルエムだけ。」

「当然のことを。」

「自信過剰だ。」

「お前に生きる喜びを教えたのは余だ。お前には余以外に誰がおる?」

「そうだね・・・私にはメルエムだけ。だから・・・私が死ぬときはあなたの手で殺してください。」

「そんなこと余がすると思うか?」

「あたしにはあなたしかいないのに。あなたが死んだらあたしは何に縋って生きればよいのですか?」

「ふん。お前は余が死んだら余の影を追って生きろ。
囲碁を見て余を思い出せ。将棋をみて余を思い出せ。」

「きっと悲しすぎて死んでしまう」

「憂いてもよい。だが死ぬな。余の後を追って死しても相手にせぬぞ。」

人を迷いなく殺すメルエムがあたしに生きろといってくれてる。

それが嬉しくて。

「相手にされないのなら死んでも意味ないなぁ・・・・・・」

「クク・・・が寿命を全うしたら余はお前を迎え入れてやる」

あたしはその時気づいた。メルエムの真意に。

メルエムがあたしに望むは変わらぬ思い。
時を経ても色あせぬ愛を求めていることに。

「メルエムこそ心変わりしてたら許さないよ?」

は聡いようで阿呆だな。余が食らわぬのはお前だけ。愛おしむのもお前だけだ」




あたしは絶対生き続ける。

メルエムに変わらぬ思いを抱きつづけ・・・
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