我愛羅が化け物だってことは分かってた。
バケモノ
その日も私と我愛羅は里を抜け出し、近くの森で他愛無い話をしていた。
2人とも任務のない日は二人でしゃべることがよくある
「だから悩んでるんだよねぇ・・・あたしは強いわけではないし・・・多分このままずっと中忍だしねぇ・・・このさい口寄せ屋ついだ方がいいような気もしてきたんだぁ」
あたしの家は口寄せ屋。口寄せ屋とは各地の動物たちに会い口寄せの契約を結んでくれるように交渉する。
そしてその契約書を売る商売だ。口寄せを使いたい人は多いので需要が高くいい商売だ
「俺といる時間がなくなるだろ」
我愛羅は少し口を尖らせて言った。普段13歳には見えない仏頂面をしているけど、こうやっては話す時は年相応の顔をする
「私は上忍とかになれるほどの力ないし。」
「それは中忍試験に落ちた俺への嫌味か。」
「え!?そんなんじゃないって・・・」
「フン」
この日のあたしは迂闊だった。
だから。
敵の接近にも気づかなかった
その日俺を狙ってきたのは岩隠れの忍たちだった。
俺はといっしょに過ごす時間は至福のときで
一番落ち着けて、安心できる時間だった。
「やっ!!」
は短い悲鳴を上げて岩隠れの忍が起こした地割れの隙間に落ちていった
「チッ!」
俺は短く舌打ちすると岩隠れの連中を砂で握りつぶし始末した。
とて中忍。死んではいないようだが俺の砂じゃ届かない位置まで落ちていた
だけど。
守鶴を憑依させれば届く。
でもに嫌われるかもしれない。
との時間が壊れるかもしれない
「がぁら・・・大好きだったよ・・・頑張って・・・風影になってね・・・」
「っ!!」
何を迷ってるんだ。俺は。
が死んだら時間もくそもない。
それに
が死んだら・・・俺は・・・
俺は印を結ぶと激しい頭痛に襲われながら守鶴をこの身に憑依させた。
眼が覚めると(あたしは情けないことに穴の中で気絶した)我愛羅は
バケモノになっていた
見た目よりずっと柔らかいサラサラの紅い髪は姿を消し、代わりに獣耳が生えていた
全身が砂で覆われバケモノになった我愛羅は
とっても怖くて不気味だった
ニゲロ!ニゲロ!ニゲロ!
あたしは頭の中で鳴り響く警告どおり逃げようとした
・・・ニゲル?
我愛羅はあたしを助けてくれたのに?
頭を抱え苦しそうに呻いているのに?
我愛羅はあたしの大事な恋人なのに?
逃げるの?あたしは?
冗談じゃない。
あたしの我愛羅に対する愛は我愛羅が守鶴になって程度で消えるようなものじゃない
冗談じゃない
一瞬でも逃げるなって思った自分が許せない
あたしの視線から逃げるように頭を腕で抱え(腕でかどうかは分からないけど。なにしろ今の我愛羅は人の姿ではない)
「見るな・・・見るな・・・見ないでくれ・・・」と呻き続ける我愛羅を一瞥するとあたしは我愛羅に抱きついた。
「我愛羅!落ち着いて!あたしはここに・・・」
「黙れ!お前も俺を嫌いなくせに!!」
「っ・・・!!バカ!!」
あたしは我愛羅をひっぱたいた。
「好きじゃなきゃとっくに逃げてるっつーの!!」
「うるさい!俺はバケモノだ!!」
「そうかもしれない!
でも!!あたしを助けてくれるためになったんでしょ!?恥じることなんてないでしょ!!」
「うるさい・・・うるさい・・・」
「それに!!あたしは我愛羅を愛してる!!
不器用なところも!嫉妬深いところも!!やさしいところも!!バケモノの我愛羅も!
全部ひっくるめて愛してる!!」
「・・・」
あたしはもう暴れなくなった我愛羅の頭を抱きあたしの膝に乗せる
「ねぇ・・・我愛羅・・・」
我愛羅は眼を閉じたままで耳だけをピクピク動かす。
「我愛羅が苦しい時はそばにいて抱きしめてあげるよ・・・ずっと。ずっと。」
「ありがとう・・・・・・愛してる・・・永遠に・・・」
一人では抱えきれない孤独や葛藤も2人でいれば大丈夫。
きっと。きっと。大丈夫。
「ねぇ・・・我愛羅・・・」
「なんだ・・・」
「守鶴が憑依した我愛羅って・・猫みたいだね・・」
「えい。えへへ」
は我愛羅の耳や額を撫で始める。
「我愛羅・・・猫みたいで可愛い・・・・」
「・・・・・・・・(複雑)」
は大物だった。
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